交通取締りの種類について
「設置式ネズミ捕り」
車道に対して速度測定器を設置し、検挙対象速度に達した該当車両に
ついて、その場で検挙する方式の速度取締りを指す。設置式ネズミ捕りに
似て非なる「固定式オービス」「可搬式オービス」「移動オービス」とは
区別される。ここでは「設置式ネズミ捕り」の詳細を見ていこう。
このように車道に向けて速度測定器を設置する。2020年現在、測定には
電波を使用する物のみが確認されている。測定電波を向かってくる
車両に照射し、その反射を利用して速度を測定する。三角関数や
ドップラー効果とか、測定については色々な理屈があるが、とにかく
電波を車両に当てて速度を測定する機械って事だ。
測定器本体近影。これは日本無線製のJMA-240/280。当サイトでは
ダントツの登場率。後述する他社製機器は既に生産を終了している
という事もあり、いわゆるベストセラーになっているのがこの
JMA-240/280。配置人員は操作係と停止係の2名。操作係が測定
電波のオン・オフを行い、停止係が違反車両を停止させる。測定
電波のオン・オフだが、これは測定電波を常にオンにしていると、
レーダー探知機を装備しているクルマはこれを事前に察知、減速
してしまう。その為操作係は「ギリギリまで引き付けて」電波を
オン、つまり照射を行う。これをステルスと呼ぶ。実際には機械
からは電波は常に出ており、その電波を遮るシャッターの開閉を
操作係は行っている。このシャッターの隙間から漏れる微弱な
電波をレーダー探知機を察知すると、探知機の種類にもよるが、
「ステルスです、ステルスです」と警告する。設置式ネズミ捕りの
実施は道警の場合は所轄交通課が行う。交機や高速隊が運用した
実績は2022年現在確認されていない。
銘板にはレーダ式車両走行速度測定装置との標記。
車線軸線に対しての照射角度限界がある為、本体上部には分度器が
装備されている。
現場によっては本体に対してマーキングがなされている。
「2点式の場合は27度に設置しなければプラス誤差が出る」とは
なんだろう。どういう事なんだろう。オラ、わくわくしてきたぞ!
教えて頂く。これは本機による速度測定は道路に対して平行に近い
傾斜角度でレーダーを発射して測定する「0度法」と、より傾斜を
付け、27度で測定する「27度法」の2方法があり、その事についての
注意書きになっているとの事。
0度法と27度法を比較した場合、27度法は測定値が低く出るため、
同法での測定時はプラス補正を行う。0度法で測定しているにも
関わらず27度法用のプラス補正をしていた場合は実際の速度よりも
高い測定結果が出てしまい、違反ではないのに検挙されるという
ケースが起きてしまう。それを防ぐ為のラベルプリントという事だね。
前述の様に、配置人員は2名。前方は操作係、後方は停止係。
この他に違反切符作成に従事する警官が配置されるので、現場には
最低でも3名の警官が配置される事になる。測定器の設置状況
にもよるが、画像では両係が接近して配置される事から、
二人羽織パターンと呼ばれる。
ジュラルミンケースの上に置かれているのは、JMA-240/280に対して
各種設定を行う為の機械。ドライバーが叩き出した記録を印字する
プリンターも兼ねている。左に見えるのはスピーカー。設定された
速度以上の数値を測定すると、「ピョ~」という間抜けな音が聞こえる。
ピョ~本体。ピョ~。
昔のピョ~。明日のジョーみたいに言うな。
「ピョ~」で停止係ダッシュ。ピョ~ピョ~うるさいよ。
操作係が使用するコントローラー。
別現場。こちらは両係が離れている。現場によっては、これがもっと
離れている場合がある。操作係の挙動に注目。コントローラーを持つ
手を横に広げている。これは停止係に「速いのが来てる」という合図。
必ず行われるものではないが、現場ではこういう所作にも注目したい。
これは両係がかなり離れているケース。こうなると操作係と停止係の
連携は無線で行われる。その際の周波数は350.1MHz。交取に使われる
専用周波数。市販のレーダー探知機の大半は、この周波数を傍受して
警告する機能がある。
「ピ
ョ~」
これは操作係が海賊王を目指しているケース。かなりレア。
警察が用意している「速度測定カード」
測定から検挙までのプロセス。
概略図。
JMA-240/280バリエーション。雨天時の運用を考慮しての現地改修仕様。
プラケースを切り貼りして傘を自作。これで雨の日も安心!
ここからは過去に稼働していた別タイプの測定器達を振り返る。
こちらはJMA-240/280と同様の長方形タイプ。
だがカラーリングもサイズ感も異なる。
三菱電機特機システム製、RS-720ER。
いかにも「レーダーです」と言ったスタイル。レーダーと言えば円形。
そのステレオタイプを満足させてくれる。
パナソニック モバイルコミュニケーションズ製のES-8H01。
こちらは更に「ザ・レーダー」ってスタイルの測定器。
三菱電機特機システム製、RS-720DR。
凄く判りやすい形状。いかにも電波出してますって感じ。だがもう
コイツを含めてRS-720ERもES-8H01も姿を見る事はない。
2022年現在はやっぱりこれだ。JMA-240/280全盛。
「設置式ネズミ捕り」については以上。「固定式オービス」
「可搬式オービス」「移動オービス」とは区別していこう。