世界びっくりカーチェイス2
カメラの準備はいいか?

皆様からの交通安全情報をお待ちしております。



交通取締りの種類について


「可搬式オービス」

車道に対して速度測定器を設置し、検挙対象速度に達した該当車両を撮影し、
後日その車両のナンバーから使用者を特定して出頭命令書を郵送にて送る
方式の速度取締りを指す。置き型の速度測定装置にて検挙対象速度に達した
該当車両をその場で検挙する方式の「設置式ネズミ捕り」は異なる。また、
鉄骨アーチを組んで道路上空に大掛かりな測定装置と撮影装置を設置した
「固定オービス」とも、かつてワンボックスタイプの車両に測定装置と
撮影装置を搭載して取締りを行った「移動オービス」とも区別される。
ここでは「可搬式オービス」の詳細を見ていこう。


可搬式オービス本体の設置個所手前には、必ず「速度違反取締中」と
書かれた事前警告看板が設置される。これは違反車両内のドライバーの顔を
「無断で」撮影していない事を主張するための看板。みだりに顔貌を
撮影されない権利=プライバシー権の侵害についてはこれでクリアされる
という法的見解に基づく。事前に警告されいるにも関わらず、違反速度で
走行したのであれば、それは撮影するのもやむを得ずという論法になる。
この警告看板の設置傾向については後述する。


本陣。手前がストロボユニット。奥が可搬式オービス本体。可搬式
オービスは国内外問わず数社数種類の機器がリリースされている。道警に
配備されているのはその中でもセンシス社のMSSSという機種で、2018年度
から毎年調達されている。2022年度時点での配備状況は以下の通り。

2018年度…札幌方面
2019年度…旭川方面
2020年度…釧路方面
2021年度…函館方面
2022年度…北見方面および釧路方面十勝隊


これは岐阜県で撮影された半可搬式オービス。据え付けると容易に移動は
できないが、それでも設置に係る基礎工事は不要なタイプ。半可搬式
オービスと呼ばれる。これは東京航空計器製のLSM-300HK。最後のHKは
「半可搬式」を意味しているのかね。


愛媛県で撮影の東京航空計器製LSM-300。こちらは北欧くんと同じ
可搬式タイプ。東京都でもこのタイプの運用が確認されている。


やはり事前警告看板が設置される。


話しを北欧くんに戻す。本体よりも手前に設置されるストロボユニット。


発光色は白色。赤外線カメラを使用していた固定式オービスとは異なり、
通常のデジタルカメラを使用して違反車両を撮影する為、発光色は白色だ。
固定式オービスを光らせてしまったドライバーがよく発言する「目の前が
真っ赤になった」という事にはコイツの場合ならない。


違反車両に対してストロボが発光した瞬間。やはり白色。


違反車両通過。終わりましたね。


可搬式オービス本体。前述のようにコイツはセンシス社のMSSSと呼ばれる
機種。エムエスエスエスという発音が面倒なのでセンシス社がスウェーデンに
ある事にちなんで「北欧くん」と呼称している。以下北欧くんと記載する。


北欧くん近影。右下には動力となるバッテリーケーブル、ストロボ
ユニットをコントロールする為のケーブルが接続されている。左端の空き
コネクタはセットアップ、データ回収用のパソコン接続コネクタ。
測定方式は電波式。この電波を探知できるとするレーダー探知機は
ある事にはあるのだが、それを謳っていながら反応しないケースも。
商品の選択は慎重に。


こちらは北欧くんに探知機が反応したケース。同一機種の探知機でも
「札幌配備のものには無反応、なのに他方面配備のものには反応した」
という情報が複数寄せられている。なんだろね。


2023年4月にユピテルから「可搬式オービスMSSS対応」モデルが発売。
札幌配備のものにも反応する事が確認されている。なお、探知は
手前136メートルからというデータがある。


最大3車線を走行してくる対象車両をそれぞれ個別に測定できる性能を
有する。まずはトラッキングと呼ばれる予備計測を150メートル手前から
開始。その予備計測は1秒間に21回という回数で継続して行われる。
速度確定最終ポイントではあらためて2次検証を行う。トラッキングに
加えてダブルチェックを行う。そして違反設定速度に達していた車両を
撮影する。


※画像はセンシス社ホームページより。
写真は1台につき3枚撮影される。全景、運転者、ナンバーがそれぞれ
撮影される。画像の様式はあくまでもイメージだろうが、これだけの
性能を有しているのは間違いない。

道警における運用傾向は、もっぱら郊外の幹線道路での法定・制限からの
時速30キロオーバーの違反車両を撮影(検挙)している場合が多い。生活道路や
通学路で時速10キロオーバー程度の違反車両を取り締まる場合もあるが、
やはり前者の場合が多い傾向にある。その場においての検挙が無い事から
早朝日中深夜問わずに稼働する。これまでに確認されたロケーションは


通学路、学校付近


死亡交通事故現場


一般道・高速道路問わず


見通しの良い直線 ・車線が減少する直前あるいは増加した直後


トンネル内あるいは出た直後

等があり、道路左側端のみならず中央分離帯上で稼働している場合も
ある。なお、トンネル内の運用においてはその高さや断面形状に
よっては測定電波が乱反射してしまい、測定がうまくいかなかった
トンネルもあるとの事。それが判ったのは札幌市内にあるエルム
トンネル。しかし今後は北欧くん自体の性能が改善される、あるいは
別のメーカーの可搬式オービスが投入される等の事態は予想できる。
いずれにせよ油断はできないという事だ。




※画像はいずれもセンシス社ホームページより。
大変興味深いシーン。高所から眼下の車両を測定している。現時点で
警察がこの手のロケーションを採用していないだけであって、北欧くん
自体にその能力があるという事が判る。


ストロボユニットにも書かれているセンシス社のロゴとホームページ
アドレス。MADE IN SWEDENと書かれている。北欧の息吹を感じるね。
感じない。


底面部分に貼られる銘板シール。正式名称は「可搬式速度違反自動
取締装置」となっている。


北欧くんが違反車両を撮影するレンジ内に置かれる事がある小さな
プレート。


「本体手前〇〇メートルがここ」という役割をするアイデアグッズ。
これが無いと要件を満たさないという事はないが、取り締まる側に
とってはあると便利という物。通称「目安くん」


再び事前警告看板について見ていく。この看板の存在に気付けるか
どうかがその後の分かれ道になる。しかしこの看板の「置き方」
にもバリエーションがあり、ややもするとそれは「できるだけ
目立たないように」と意図して置かれているのではと思いたく
なるようなものもある。見ていこう。


他の無関係な看板と一緒に。木を隠すなら森の中。


ウェルカム。ウェルカムじゃねぇよ。※ウェルカムは無関係。この
ケースでは事前警告看板が左側に置かれて、


北欧くんは分離帯側に設置されているパターン。視線を左右に
振らないとってヤツだね。


こちらは看板自体のデザインが異なる。若干ね。若干。


こちらもデザインが微妙に異なる。なお、「事前警告看板を北欧くん
本体の手前何メートルに設置しなくてはならない」という明確な
ルールは無い様で、場合によっては北欧くんのすぐそばに置かれている
場合もある。


こちらは視線誘導を巧みに利用した置き方。光ってる文字の方に
視線が行く。しかし本当に注意すべきはその根元。


ここからは北欧くんを運搬する車両。トランポについて見ていく。
設置現場付近には必ずトランポが待機し、中から北欧くんの安否を
気遣う警官が乗っている。この場合は、右端に写るワンボックスが
それだ。


撮影者の存在に気付いてお彼岸から見ている警官。北欧くんが
札幌に配備になった当初は札幌交機が運用を担当しており、
トランポはこの200系ハイエースだった。


別の現場でもしかり。やはりハイエースの姿が。


2022年5月現在はその同ハイエースからトランポが変わっており、
この200系クラウン覆面がその役割を務める。運用は札幌交機から
札幌交通指導課に変わったという。


設置個所付近の民家敷地を借りて見守り行動を行う同クラウン。


ナンバーは「札幌302 の 19-87」通称「西暦くん」


2023年4月現在では「西暦くん」から別個体200系クラウン覆面に。
ナンバーは「札幌302 の 22-99」通称「ニック」 トランポを
押さえていたとしても、北欧くんが待ち構えるポイントを事前
察知できる訳ではないが、こいつが移動している姿を捉える事が
できれば、その先での北欧くん展開ポイントを予測する一助
にはなる。


北欧くんに撮影された後、2週間から4週間前後でこの通知書が
車検証に記載の使用者の住所へこれが封筒で届く。前述の様に
札幌方面の北欧くんは運用が交機ではなくなっているので、
出頭する場所も連絡先も異なっている可能性がある。電話したり
しないようにね(笑)。



北欧くんに次いで2023年に登場したのが東京航空計器製のLSM-310。
可搬式オービスは高額機器故に、官報でその入札段階から導入の
経緯を追えるのだが、この個体はそうした公開情報無しに突然
現場に登場した。当初は品替えと呼ばれる予算流用によって
調達された物と憶測したが、損害保険会社からの寄贈によるものと
判明した。よって札幌本部に配備になったこの個体のみをもってして
「損保くん」と呼称する。


北欧くん同様に事前警告看板が設置される。黄色の樹脂フレームに
覆われた仕様のもの。通称「黄」


工事現場の看板風に見えるのは北欧くん設置現場の看板と同様。


備品シールが看板にも貼られる。


本陣。北欧くんと異なりカメラもセンサーもストロボも一体型と
なっている。


測定方式はレーザー。レーザー対応を謳う探知機であれば反応する。


上段がストロボユニット。下段がカメラとセンサー。


箱を2段積み重ねる形で構成される形状。空の一斗缶を重ねたダミーも
制作されており、それは一斗くんと呼称している。


確かにこの形状は一斗缶を重ねればそれっぽいものが作れそうだ。


背面。ケーブルが接続される。


背面下段のディスプレー。


損保くんのスペックが判る1枚。同時に2車線まで個別に測定できる事が判る。
ちなみに北欧くんは同時に3車線測定可能。このディスプレーは表示オフに
している場合がほとんど。走行するドライバーにしてみればなんら影響の
無いギミックでもある。この表示機能がある事はあくまでも参考として
覚えておくといいだろう。


発光の瞬間。北欧くん同様、白色に発光する。


発光の瞬間を逆方向から。次の瞬間、


フラッシュ、サンダー!! 対向車線を挟んだ奥の木々にまで光が届いて
いるのが判る。


北欧くん設置現場で見られる距離ガイド「目安くん」と同じ用途で
設置されるのがこれ。通称「ネギ坊主」


北欧くんが苦手とするトンネル内での運用も可能。同時測定可能な車線数
は北欧くんよりも少ないが、こういう点では優れている。


札幌圏においては2024年現在で可搬式オービスが北欧くんと損保くんの
2台体制。よって同一箇所で両方向取締りが可能に。これはそれが実際に
行われた場面。


面白いねぇ。前述のダミー「一斗くん」も交えた心理戦運用にも期待
したい所だ。

交通取締りの種類について
交通取締りについて各方法別に解説。



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